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'03.10.31 メルマガ発行 '03.11.03 web版 発行 |
No.010 '03.10.31 ネットで聴けるオルガン音楽
オルガンや演奏家の話しばかりしても、文字情報だけで肝心の音楽が聴け
なくては面白くないだろう。そこで今回は、ネット上で聴けるオルガン音楽
をご紹介しよう。 ● パイプ・ドリームズミネソタ・パブリック・ラジオをキーステーションとして、アメリカで全国的 に放送されているオルガン番組である。オルガニストで、かつ音楽全般に造詣 の深いマイケル・バローンのディスクジョッキーで20年以上も続いている。 週1回・1時間半の番組だが、ホームページでは3年前までさかのぼって、 合計 200時間以上の音楽を聴くことができる。音質はまあまあだが十分楽し める。 毎回の放送は、特定のオルガン・作曲家・演奏家などにスポットをあてて 行われるが、時には何回かに分けて北米の主要なオルガンコンクールや フェスティヴァル(例えばカルガリ)の模様が放送されることもある。 入門者は、こういったテーマを通じてオルガンという楽器やその音楽に ついての視野を広げることができるだろうし、オルガンファンやオルガ ニストにとっては、膨大なレパートリーや自分が知らない分野での知識を 深める上でとても役立つはずだ。 例えば 10月27日の放送(No.344)では、演奏可能なとしては世界で最も 大きいフィラデルフィアの「ワナメーカー・オルガン」が、専属オルガ ニスト、ピーター・コンティの演奏で紹介される。このオルガンは、ロード &テーラー百貨店の中にあるが、以前の店名ワナメーカーの名前で知られ ている。 案内人マイケルの英語も標準的なものだから、ついでに英語のヒアリング
勉強用としても悪くない! ● BBC : Radio 3英国の公共放送局 BBC は、早くから電波の代わりとしてインタネットを位置 づけている。現在最も大規模にネット放送を行っているのも BBC だろう。 ウェブサイト のトップページ を見ると、膨大な コンテンツに驚かされる。その中に小さく表示された Music というリンクを クリックすると、音楽のトップページ が開く が、そこで再度驚くことになってしまう。 3つあるラジオ放送のうち、専ら クラシック、ジャズ、現代音楽、ワールド ミュージックを扱っているのが Radio 3 だ。 オルガン専門の番組はなさそうだが、右側のメニューで Classical の下に
リンクがある "Choral Evensong" を聴いていただきたい。これは もう76年
も続いている番組で、毎週英国のどこかの大聖堂・教会・礼拝堂で行われる
晩祷(英国教会の夕べの礼拝 ... evensong)を中継放送しており、ネット上
でもその録音を常時聴くことができる。(時には英国外からの中継もある。) 聖書の朗読や祈りと前後して歌われる合唱曲が聴きもので、その多くはオル
ガン伴奏だ。イギリスの合唱、特に大学の礼拝堂が擁する聖歌隊はいずれも
世界的にトップの座を競う水準にあるが、その背景にはこうしたイーヴン
ソング (Vespers とも言う) の伝統も大いに寄与しているのだろう。 晩祷は通常、ヴォランタリーと呼ばれるオルガンの独奏で終わる。その際
弾かれる音楽は、古典、ロマン派、現代曲、即興などと、オルガニストに
よって様々だ。正オルガニストは合唱の指揮を担当するから、オルガンは
通常副オルガニストやオルガン専攻の学生が担当している。 この番組の聴き所はやはり合唱だ。ちょうど今 (10/29-11/4) 聴ける聖歌隊
はケンブリッジ・クレアカレッジのものだが、実際の礼拝で聴く音楽には、
時として市販のCDなどでは聴けない素晴らしいものがある。半分過ぎた
32分辺りから聴ける合唱が感動的だが、式次第を見てもよく解らない。 礼拝とは言っても、今では教会音楽を聴く目的で来る人も多いのだろう。 10年ほど前、セント・オーバンズでイーヴンソングに出席したことがあるが、 相当な人の数で入場を整理していたほどだ。あの時の音楽も一生忘れることが できない。 ところで実は、BBC にオルガン番組が無いわけではない。The Organist Entertains というシアターオルガン(シネマオルガンとも言う)の番組が Radio 2 にある。34年続いている番組だそうだ。 シアターオルガンはパイプオルガンの一種で、主にサイレン映画を伴奏する ための楽器として、今から百年ほど前に開発された。日本では東京日本橋の 三越百貨店にあるオルガンがほとんど唯一のものだ (1930年に設置)。 これは当時の三越の社長がアメリカを訪れた際、フィラデルフィアで上記 ワナメーカー百貨店のオルガンを聴き、購入を決意したのだという。(当初 は 7階のギャラリーに設置されていたが、1935年 現在の位置に移設。) DJをしているシアターオルガニスト、オグデンの英語はイントネーションがとても「変」だ。
ワザとこういう口調で話しているのか、それともこういう「訛り」があるのかしらん? (^^;;;)
● フランス・ミュジーク (A l'improviste)BBC の Radio 3 に相当するのが、フランスでは France Musiques という ことになる。ここに A l'improviste (ア・ランプロヴィスト) という面白い 番組がある。improviste (アンプロヴィスト) とは即興演奏家という意味だ ろうか?
その言葉が表すように、毎週様々な演奏家やグループによる即興演奏が取り
上げられるが、年に何回かはオルガニストの出番だ。(12月にたぶん、オルガ
ニストのフレデリック・ブランが出演する。)
ページの上の方にある ■Ecouter をクリックするとその週プログラムが聴ける。 ● その他以上、音楽のネット配信・放送を無料で行っているサイトで、私が知って いるオルガン関係のものを紹介した。いずれも内容は充実している。他にもあるが、しっかりした内容のものは今のところこの程度だ。恐らく今後も変わらないだろう。 なお、私自身が企画している「ホワイトキューブ・オルガンコンサート・
シリーズ」における録音から抜粋したものは、このサイトのページで聴くことができる。 最近2〜3年の録音は含まれていないが、近日中にこれを加えて更新するつもりだ。用意ができたらこのメールマガジンでお知らせしよう。 【編集後記】 ネット上で聴けるオルガン音楽について改めて調べてみました。 特にイギリスでは、合唱とオルガンが切っても切れない関係にあるという事実を改めて確認できました。日本ではこのような合唱音楽を「大オルガン」 の伴奏と「大聖堂の音響」の中で聴くことはほとんど不可能です。ぜひ、 インタネットを通じてこのようなオルガンの世界もある、ということを 体験してみて下さい。 バックナンバーは、下記のアドレスでお読みいただけます。これらの 内容は必要に応じてアップデートしています。 著作・発行: 大林徳吾郎 (オルガン設計製作家・プロデューサ) [OrganConcert] のホームページ: http://organconcert.info/mm/
http://pipeorgan.jp/ パイプオルガンと音楽 バックナンバー 目次 |
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