トーマス・マレー講演の要旨


1) オルガン以外のあらゆる演奏家が用いる音楽表現の様々な手法(vocabulary)。 ルバートとスウェル・エクスプレッションを併用してフレーズを作る(フレージング) ということ。そのためには、アクセント(強調)と抑揚、つまり、フレーズの中で 強調、あるいは弛緩する音符を見分けることが重要となる。 多くのオルガン演奏においてこれが欠けており、経験を積んだ聴き手を失望させる ことになるのであるが.... 
モーツァルトの幻想曲(K.608)、シベリウスのフィンランディア、その他の編曲、 を例に説明する。

2) オーケストラの音色にヒントを得たロマン派のオルガン。それが叙情的 (lyrical)な音楽においていかにネオバロック・オルガンに勝っているか。

3) サミング (thumbing、注参照) による多様な音色の使い分け。ルメアのような過去の 著名な編曲演奏家によりどのようにこの奏法が発展したかを、簡単な用法から 高度なものに至るまで実例を挙げて説明する:
オリジナル作品としてヴィドールの第5交響曲、そしてチャイコフスキー、 フンパーディンク、の編曲、またルメアの作品やシューマンの6つのカノン を例に解説する。

4) スムーズなクレッシェンドを行うテクニック。キューブのオルガンにおける 実際のレジストレーション(コンビネーションの設定)をもとに説明する。
マクダウェル、エルガー、ロイプケの作品を例に用いる。

5) 編曲者がしばしば犯す過ち。最もよくあるのは低音のパートが(いかに難しい パセージ、あるいはテンポであるに拘わらず)常にペダルで弾かなければ ならないという思い込みである。

6) 結論として、あらゆる楽器に共通した音楽表現上の技法を、オルガン奏者も また心得ておかなければならないということ。


(注) サミング(thumbing)とは、2〜5の指(fingers)で一つの鍵盤を弾きながら 同じ手の親指(thumb)ですぐ下の鍵盤を弾くこと。これにより、手鍵盤だけで 3〜4種類の音色(レジストレーション)を同時に引き分けることが可能となる。
キューブのオルガン全般についての解説は:
  http://www.lares.dti.ne.jp/~jubal/swm/swm-j.html



This page first uploaded on 1999-3-5. Revised on 1999-3-10.